大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)2389 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人作田高太郎、同黒笹幾雄、同藤井滝夫の上告趣意第一点前段及び第三点後

段は、憲法三八条三項違反をいうが、原判決の是認した第一審判決は、被告人の供

述のほか多数の有力な補強証拠を掲げ、これを綜合して判示犯罪事実全体を認定し

たものであつて、右証拠を綜合すれば、右認定を肯認することができるのであるか

ら、所論はその前提を欠き刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第一点後段、同

第二点は、違憲をいうが、その実質は原審で主張も判断もない単なる訴訟法違反の

主張に帰しこれまた、同条の上告理由に当らない。そして、所論供述が任意性を欠

くものであることは、これを認むべき証拠がないし、また、書面の意義が証拠とな

るだけでその存在や状態が証拠となるものでない場合は、「証拠書類」であつて、

「証拠物」でないことは当裁判所屡次の判例であるから、所論の訴訟法違反も認め

られない。同第三点前段は、単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上

告理由に当らない。そして、所論特別事情の有無は、証拠の取捨判断をする事実審

裁判所の裁量に属し、判決において、その有無について説示するを要しないこと論

を俟たない。されば、本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二九年一月一四日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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